オリジナルウイルスバスター

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自宅やオフィスでパソコンを利用する市民は、最寄りの中継アンテナを経由してインターネットに接続することになる。
そしてグーグルの狙っている広告ビジネスは、その中継アンテナにある。
どの利用者がどの中継アンテナを経由してインターネットに接続しているのかは、グーグルの側からすべて把握できる。
したがって、その利用者が住んでいる場所をかなり絞って地域密着型の広告を届けることができるのだ。
タイ仮に、日本の身近な商店街モデルで考えてみよう。
たとえばあなたが、東京・神楽坂の本通りに近い住宅街に住んでいるとする。
あなたはい。
これは架空の話である)を利用していて、新宿区神楽坂六丁目の電柱に取り付けられている中継アンテナを経由してインターネットに自宅のパソコンを接続している。
グーグルは、あなたが神楽坂六丁目の電柱から半径数百メートルの範囲内に住んでいることを知っている。
また接続サービスに登録する際にさまざまな個人情報の登録も求められたから、あなたが年収六百万円のビジネスマンで、妻と小学生の子供二人がいることも賞であることも知っている。
一方でグーグルは、ありとあらゆるところから広告主を集め、それら広告主の広告を配信している。
その中にはもちろん自動車メーカーや化粧品会社、銀行などといった大手のクライアントもいるけれども、その一方で、スーパーマーケットや個人の商店、地域密着型の信用金庫などの広告主とも契約している。
となると、グーブルネットを使って行われるグーグルの広告ビジネスは明らかだ。
たとえば神楽坂五丁目のスーパーマーケットが、週末に大売り出しを行うとする。
そのスーパーは、これまで新聞の折り込み広告に入れていたチラシと同じ内容の画像ファイルを、あなたに向けてグーグルネット経由で届ければいい。
折り込み広告と違って紙代や印刷代、新聞販売店の配達料金も要らないから、比較的安価に広告を地域の消費者のもとに不動産会社も同様だ。
あなたが賃貸マンションに住んでいるのがわかっているのであれば、神楽坂に新しくできる分譲マンションの広告を届けることを望むだろう。
中古車販売、水道修理、引っ越し・運送、清掃代行サービスなど、これまで新聞の折り込み広告になっていたような地域密着型の広告であれば、すべてグーグルネットのこの地域広告に呑み込んでしまうことが可能になる。
さらに言えば、「売ります」「買います」といった個人売買や求人広告なども、グーグル経由で提供することが可能になってしまう。
グーグルネット経由で接続している人であれば、自宅にある要らない品物を「売ります」広告に出すだけで、自動的にグーグル側が「あなたは神楽坂六丁目に住んでいる」と認識し、神楽坂界隈に住んでいる人たちに効率よくその「売ります」広告を届けることができる。
ほとんど夢物語のように聞こえるかもしれないが、しかしこれは決して夢物語ではない。
グーグルはすでに似たような個人向け広告ビジネスを、二〇〇五年十一月からスタートさせているからだ。
その正式名称は「グーグルベース」という。
英語版が公開されたばかりで、日本語版はまだない。
グーグルベースの利用者は、「自動車売買」「料理のレシピ」「求人」「求職」「住宅貸します」「チケット売ります」といったありとあらゆる種類の情報を、無料で投稿できる。
それらの情報には自分でわかりやすいようにラベルを付けておいて、他の利用者が簡単に見つけ出せるようにもできる。
投稿された情報は、グーグルベースのトップページにジャンルに分けて表示される。
この章の冒頭で紹介した「グーグルニュース」と同じように、ジャンル分けは自動的に計算式で行われるしくみになっている。
さらに近い将来、クレジットカード決済機能も追加され、利用者同士が簡単かつ安全にカネのやりとりもできるようになるという。
このグーグルベースのホームページ上の説明には、こう書かれている。
「他の人と共有したい情報をどう人に見せるか分からない時には、グーグルベースが最適です」このグーグルベースが、グーグルネットと結びつけばどうなるだろう。
もし普及していけば、日本では新聞の折り込み広告が消滅してしまう可能性さえある。
折り込み広告は新聞販売店の収益の柱となっており、この広告モデルがあるからこそ日駆逐されるようなことにでもなれば、新聞社の存在の基盤さえも揺るぎかねない。
グーグルベースとグーグルネットは、強烈な破壊力を秘めているのである。
あらゆる種類の情報がグーグルベースに集まり、それらが地域ごとに細かく閲覧できるようになる-それはニコミ誌や地方紙を規模でもはるかに越え、そして個人や地域への密着度でもはるかに凌駕した巨大な消費者情報網の誕生でもある。
ブタもっとも、日本ではまだグーグルベースもグーグルネットも存在しておらず、その意味を理解している人はほとんどいない。
しかしアメリカでは、それらの破壊力は現実の脅威となって語られつつある。
たとえば、アメリカの地方新聞。
アメリカ国内には部数数千部から数万部程度の小規模な地方紙が各町に存在し、アメリカン・デモクラシーの根幹を支えてきたとされている。
そしてそうした地方紙は、案内広告(クラシファイド)と呼ばれる広告によって収益を得てきた。
日本語で言う「三行広告」で、つまりは個人や小さな事業者の「売ります」「買います」「求人」などの短い広告である。
つまりはグーグルベースとまったく同じ広告モデルということなのだ。
グーグルベースがアメリカ国内で普及し、グーブルネットによって地域性を備えるようになれば、こうした地方紙のクラシファイドを直撃しかねない。
この間題がアメリカでは急浮上し、グーグルベースに対して懸念する声がマスメディアの間からも出始めている。
グーグルは二〇〇五年以降、いたるところで「破壊戦略」を展開している。
ほかにもさまざまな計画がある。
たとえばグーグルは二〇〇六年初め、「グーグルPC」というパソコンを発表した。
わずか百ドルの簡易なパソコンで、これをグーグルは開発途上国の子どもたちに一億台配布する計画を立てているという。
IT化をテコにした経済成長を狙っている開発途上国の多くの子どもたちが最初からグーグルを使うようになれば、その波及効果は計り知れない。
またグーグルは、「グーグルブックサーチ」(旧グーグルプリント)というサービスを二〇の書籍をグーグルから検索できるようにすることを目指している。
出版社がこのサービスに登録し、自社で刊行した書籍をグーグルに郵送すると、グーグルがすべてのページを手作業でスキャンして電子化し、グーグルのデータベースに登録する。
利用者が検索すると、その検索キーワードが含まれるページの画像が表示され、そこからオンライン書店の購買ページや出版社のホームページにリンクできるしくみになっている。
検索結果は該当ページしか表示されないため、「著作権保護の観点からも問題はない」とグーグル側はアピールした。
ところがグーグルがこのサービスをさらに進化させ、図書館の蔵書を対象にしたことから、問題の火が噴いた。
同年暮れに、ハーバード大やスタンフォード大、オックスフォード大、ニューヨーク市立図書館など、提携する大学や公立図書館の蔵書をすべてデジタル化し、検索できるようにする新ブログラムを発表したところ、アメリカの作家団体や出版社団体などが「著作権法違反だ」として相次いで提訴したのである。


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